[アップデート] Red Hat Enterprise Linux (RHEL) EC2の利用料金が秒単位の課金になりました
しばたです。
先日AWSより「2024年4月1日からRed Hat Enterprise Linux (RHEL)のEC2インスタンスの利用料金を秒単位にする」旨のアナウンスがありました。
これ以上言う事は無い気もしますが軽く補足を入れつつ解説していきます。
EC2課金の基本と更新点
EC2の課金は原則として「特定のOSやディストリビューションのみ秒単位の課金(最小60秒切り上げ)」、「その他OSは時間単位の課金(最小1時間切り上げ)」となっていますが、秒課金の対象が
- Linux
- Windows Server
- SQL Server (Enterprise, Standard, Web エディション) 入りWindows Server
と多数のためドキュメント上は「基本秒課金」という表現になっています。
過去には2021年にWindows Serverの課金が秒単位に切り替わっており、今回新たにRed Hat Enterprise Linux (以後RHEL)も対象となった感じです。
アナウンスで「RHEL-based」記載されている様に、実際に対象となるのは
- RHEL
- RHEL with HA
- SQL Server入りRHEL
- SQL Server入りRHEL with HA
の4種類となります。
参考 : 使用オペレーションごとの状況
AMIには請求のためにOS/ディストリビューション毎に割り当てられる「使用オペレーション」というパラメーターが存在します。
こちらと今回の更新を合わせると下表の様になるはずです。
「はず」と断言していないのは、あくまでも公開情報からの予想に過ぎないのとBYOL環境については明記されたドキュメントが無いためです。
このため下表はあくまでも参考程度に捉えてください。
プラットフォーム | 使用オペレーション | 課金体系 |
---|---|---|
Linux/UNIX | RunInstances | 秒単位 |
Red Hat BYOL Linux | RunInstances:00g0 | [不明] おそらく秒単位 |
Red Hat Enterprise Linux | RunInstances:0010 | NEW! 秒単位 |
Red Hat Enterprise Linux with HA | RunInstances:1010 | NEW! 秒単位 |
Red Hat Enterprise Linux with SQL Server Standard and HA | RunInstances:1014 | NEW! 秒単位 |
Red Hat Enterprise Linux with SQL Server Enterprise and HA | RunInstances:1110 | NEW! 秒単位 |
Red Hat Enterprise Linux with SQL Server Standard | RunInstances:0014 | NEW! 秒単位 |
Red Hat Enterprise Linux with SQL Server Web | RunInstances:0210 | NEW! 秒単位 |
Red Hat Enterprise Linux with SQL Server Enterprise | RunInstances:0110 | NEW! 秒単位 |
SQL Server Enterprise | RunInstances:0100 | 秒単位 |
SQL Server Standard | RunInstances:0004 | 秒単位 |
SQL Server Web | RunInstances:0200 | 秒単位 |
SUSE Linux | RunInstances:000g | 時間単位のはず |
Ubuntu Pro | RunInstances:0g00 | 時間単位のはず |
Windows | RunInstances:0002 | 秒単位 |
Windows BYOL | RunInstances:0800 | [不明] おそらく秒単位 |
Windows with SQL Server Enterprise | RunInstances:0102 | 秒単位 |
Windows with SQL Server Standard | RunInstances:0006 | 秒単位 |
Windows with SQL Server Web | RunInstances:0202 | 秒単位 |
こうしてみると本日時点でほとんどの環境が秒単位の課金となり、Commercial Linux DistributionsのうちRHEL以外の
- SUSE Linux (SUSE Linux Enterprise Server)
- Ubuntu Pro
- ※コミュニティ版Ubuntuは「Linux/UNIX」として扱われます
だけが時間単位の課金となっているはずです。
補足 : RHELの料金改定について
今回の更新の少し前のはなしですが、今年の1月にRed Hat社からクラウド上でのRHEL料金料金の改定がアナウンスされています。
AWSも影響を受け2024年7月1日から新しい料金体系になります。
詳細については以下のページにまとまっていますのでRHELをお使いの方は見ておくと良いでしょう。
簡単に概要だけリストアップすると
- RHELの新しい料金体系はvCPU数ベースになる
- AWSの料金は2024年7月1日から新価格になる
- 新価格はvCPU数の少ないインスタンスタイプでは値下げとなり、逆にvCPU数の多いインスタンスタイプでは値上げになる傾向がある
- 損益分岐点はざっくり 12vCPU (RHEL with HAは 4vCPU)
- 併せて時間単位の課金を秒単位に更新する
- 今回の更新はココ!
といった感じです。
最後に
以上となります。
Windows Serverの時もそうでしたが検証環境など短時間の利用がメインとなる環境でコストメリットが出るのはとても嬉しいですね。